千の風

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1000の風

 

 

私の墓石の前に立って涙を流さないでください。

私はそこにはいません。

眠ってなんかいません。

私は1000の風になって吹きぬけています。

 

私はダイヤモンドのように雪の上で輝いています。

私は陽の光になって熟した穀物にふりそそいでいます。

秋にはやさしい雨になります。

 

朝の静けさのなかで あなたが目ざめるとき

私はすばやい流れとなって駆けあがり

鳥たちを空でくるくる舞わせています。

夜は星になり、私は、そっと光っています。

 

どうか、その墓石の前で泣かないでください。

私はそこにはいません。

私は死んでいないのです。

 

 

 

作者不詳

河合隼雄著「ユング心理学と仏教」より

 


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